「小規模保育園で働いてみたいけれど、自分に合うか不安」と感じていませんか。
少人数の園では、子ども一人ひとりとじっくり関われます。ただ、職員の数も少ないぶん、休みをとりにくいなどの大変さもあります。働きやすさは園によって大きく変わるため、どの園を選ぶかがとても大切です。
私は保育の仕事に13年関わり、今は0・1・2歳児が通う小規模保育園で園長をしています。実は転職活動中は、乳児だけの園を候補にも入れていませんでした。ところが働いてみると、思っていた以上に自分に合う職場だとわかりました。
本記事では、小規模保育園で働くメリットとデメリットを、園長の立場から正直にお伝えします。向いている人の特徴や、見学で確かめておきたいポイントもまとめました。転職先を選ぶときの判断材料として、ぜひ役立ててください。
小規模保育園とは?働く前に知っておきたい基本
小規模保育園は、0〜2歳児を少人数で保育する施設です。転職を考えるなら、まずは5歳児クラスまである保育園との違いを知っておきましょう。主な違いを、表にまとめました。
| 小規模保育園 | 5歳児クラスまである保育園 | |
| 対象年齢 | 原則0〜2歳児 | 0〜5歳児(園による) |
| 定員 | 6〜19人 | 20人以上 |
| 卒園のタイミング | 2歳児クラス | 5歳児クラス |
| 行事 | 少なめの園が多い | 運動会や発表会など 大きな行事がある園が多い |
表の内容を、次の3つのポイントでくわしく説明します。
定員6〜19人で、0〜2歳児を保育する施設
小規模保育園の定員は6〜19人で、対象は原則として0〜2歳児です。正式には「小規模保育事業」と呼ばれ、市区町村の認可を受けた事業です。
国の制度では、「地域型保育事業」の一つに位置づけられています。都市部では、待機児童を減らすために、小規模保育園を増やす取り組みが進められてきました。一方、子どもが少ない地域では、子育て支援の場を守る役割も担っています。
5歳児クラスまである保育園の定員は20人以上なので、小規模保育園は子どもの人数がぐっと少ない職場です。ただし、市区町村の判断で定員を超えて受け入れることもあり、子どもが20人以上になる園もあります。
A型・B型・C型で保育士の配置が違う
小規模保育園には、A型・B型・C型の3つの型があります。型によって、保育士資格を持つ職員の割合や、配置する人数が違います。主な違いは、次のとおりです。
| 型 | 定員 | 職員の資格 | 職員の人数 |
| A型 | 6〜19人 | 原則として 全員が保育士 | 保育所の配置基準 +1人 |
| B型 | 6〜19人 | 半数以上が保育士 | 保育所の配置基準 +1人 |
| C型 | 6〜10人 | 家庭的保育者 | 子ども3人に1人 (補助者がいる場合は5人に2人) |
保育所の配置基準とは、0歳児3人に1人、1・2歳児6人に1人の保育士を置くという国のルールです。A型とB型では、保育所の基準より1人多く職員を置くことになっています。ただし、実際の基準は地域ごとに定められているため、国のルールと違う場合もあります。
B型では、保育士資格がない職員でも、研修を修了すれば保育を担当することが可能です。C型では、「家庭的保育者」が子どもを保育します。家庭的保育者になれるのは、市区町村の研修を修了した保育士などです。保育士でなくても、同等以上の知識と経験があると市区町村に認められれば対象になります。
転職先を探すときは、求人票や見学で、園がどの型かを確認しておきましょう。
原則として2歳児クラスで卒園する
小規模保育園は0〜2歳児を主な対象としているため、子どもたちが過ごすのは原則として2歳児クラスまでです。その後は、5歳児クラスまである保育園や幼稚園、認定こども園などに通います。そこで小規模保育園には、卒園後の受け皿となる「連携施設」の確保が求められています。
連携施設の役割は、卒園後の受け皿だけではありません。保育内容の相談のほか、園庭で遊ばせてもらったり、地域交流会に参加させてもらったりすることもあります。
近年は、国の制度の見直しにより、小規模保育園でも3歳以上の子どもを受け入れられるようになりました。ただし、受け入れるかどうかは、市区町村の判断によって異なります。なお、ここから先は、0〜2歳児だけを保育する小規模保育園を例に説明していきます。
小規模保育園で働くメリット5つ
小規模保育園では、子どもや保護者、職員と近い距離で関われます。園全体の人数が少ないため、一人ひとりに目を向けやすい環境が整っています。主なメリットは、次の5つです。
- 子ども一人ひとりとじっくり関われる
- ほかのクラスの子どもの様子も把握しやすい
- 保護者との信頼関係を築きやすい
- 0〜2歳児の保育を深く経験できる
- 行事に関わる業務の負担が少ない
自分が働くうえで大切にしたいことと照らし合わせながら読むと、合うかどうかを判断しやすくなります。
子ども一人ひとりとじっくり関われる
小規模保育園では、子ども一人ひとりとじっくり向き合えます。A型とB型では、保育所の基準より職員が1人多く配置されていて、大人の目が届きやすい環境です。
また、1クラスの人数が少ないので、子どもの興味やその日の様子に合わせて、活動を柔軟に変えやすくなります。食事や着替えも、子どものペースに合わせて手伝いやすいでしょう。小さな変化に気づきやすいのも、少人数の保育ならではです。
ほかのクラスの子どもの様子も把握しやすい
小規模保育園では、担当以外のクラスの子どもの様子も把握しやすくなります。保育室がワンフロアにまとまった園も多く、ほかのクラスの様子も自然と目に入ります。職員同士で子どもの様子を共有しやすいのも特徴です。
また、子どもの人数が少ないので、園の子ども全員と関わる機会もあります。担任以外の職員も子どもをよく知っているため、担任が休みの日でも子どもが安心して過ごしやすくなります。
保護者との信頼関係を築きやすい
小規模保育園は、保護者と信頼関係を築きやすい職場です。保護者の人数が少ないぶん、送迎のたびに、子どもの一日の様子をゆっくり話せます。
夕方のお迎えの時間には、担任がすでに退勤していることもあるでしょう。そんなときでも、ほかのクラスの様子を把握している職員なら、園での出来事を伝えられます。「今日は砂場で楽しそうに遊んでいました」とひと言添えるだけでも、保護者の安心につながります。
毎日顔を合わせるうちに、担任以外の職員とも自然と顔なじみになれるのが、少人数の園の良さです。気軽に相談し合える関係ができると、家庭での様子も共有してもらいやすくなるでしょう。
0〜2歳児の保育を深く経験できる
小規模保育園で働くと、0〜2歳児の保育に専念できます。5歳児クラスまである保育園では、年度によって幼児クラスの担任になることもあるでしょう。一方、小規模保育園なら毎年0〜2歳児のクラスを担当するため、経験を重ねやすいのが特徴です。
0〜2歳は、寝返りやハイハイ、歩き始め、言葉が出始めるなど、成長がめまぐるしい時期です。0歳で入園した子なら、卒園までの3年間、成長を見守ることもできます。
イヤイヤ期の子への声かけなど、乳児期ならではの関わり方も自然と身についていきます。乳児保育の経験は、保育士として長く働いていくうえでも、大きな強みになるでしょう。
行事に関わる業務の負担が少ない
小規模保育園では、行事に関わる業務の負担が少なめです。園によって違いはありますが、運動会や発表会など、大きな行事を行わない園も多くあります。
5歳児クラスまである保育園では、行事の前に練習や衣装づくり、会場の準備などが重なることもあるでしょう。その点、小規模保育園は行事の準備に追われにくいぶん、毎日の保育にゆとりを持って取り組めます。
子どもと向き合う時間を大切にしたい人には、うれしいポイントです。
小規模保育園で働くデメリット5つ
小規模保育園では、保育室の広さや職員の少なさから、働きにくさを感じる場面もあります。また、0〜2歳児だけを保育するため、経験できる保育の幅が限られる面もあるでしょう。主なデメリットは、次の5つです。
- 保育室が狭く、活動の幅が限られやすい
- 3〜5歳児の保育経験を積みにくい
- 職員が少ないため、休みをとりにくいことがある
- 人間関係に悩んだとき、距離をとりにくい
- 2歳児クラスまでしか成長を見届けられない
どれも、園の環境や職員の配置によって、大変さの度合いが変わります。働き始めてから戸惑わないように、あらかじめ知っておくと安心です。
保育室が狭く、活動の幅が限られやすい
小規模保育園の中には、保育室があまり広くない園もあり、行える活動が限られる場合があります。園庭がなかったり、あっても小さかったりすることも多いので、外遊びは近くの公園へ散歩に出かけるのが基本です。
特にスペースが気になるのは、雨の日が続いたときです。外に出られない日は、保育室の中で過ごす時間が長くなります。風船遊びや音楽に合わせて踊る活動を取り入れても、子どもたちが十分に体を動かせないこともあるでしょう。
だからこそ、散歩先の公園選びや、室内で楽しめる遊びの工夫が、保育士の腕の見せどころになります。
3〜5歳児の保育経験を積みにくい
小規模保育園では、3〜5歳児のクラスを担当する機会はほとんどありません。乳児と幼児では、活動の内容も、子どもへの関わり方も大きく違います。たとえば幼児になると、友だちと協力して取り組む活動が増え、保育の進め方も変わってきます。
小規模保育園で長く働くなら、困る場面は多くないでしょう。ただ、将来的に5歳児クラスまである園で働きたくなったとき、経験の少なさが気になるかもしれません。特に新卒から勤めている場合は、幼児クラスを担当する機会が少なくなりがちです。未経験のまま園を移ることに、不安を感じる人もいるでしょう。
職員が少ないため、休みをとりにくいことがある
小規模保育園では、職員の人数が少ないぶん、1人休むだけでも保育への影響が大きくなります。フリーの保育士がいれば代わりに入ってもらえますが、いない園もあるでしょう。そんなときは、園長やパートの職員が保育に入って、やりくりすることもあります。
有給休暇などは、ほかの職員と重ならないように調整が必要です。同じ日に休める人数を決めておき、希望を早めに出してもらうなどの工夫をしている園もあります。
希望が重なる時期は、思うように休めないと感じることもあるでしょう。
人間関係に悩んだとき、距離をとりにくい
小規模保育園は職員の人数が少ないため、人間関係に悩んだときに距離をとりにくい面があります。職員が多い園なら、苦手な人がいても、ほかの職員と関わることで自然と離れて過ごせることもあるでしょう。一方、少人数の職場では関わる相手が限られ、合わないと感じる相手とも接する機会が多くなります。
特定の相手との関係がうまくいかないだけで、職場全体の居心地に影響することもあります。
反対に、職員同士の関係が良ければ、少人数ならではの一体感の中で働けるでしょう。
2歳児クラスまでしか成長を見届けられない
小規模保育園では、子どもたちは2歳児クラスで卒園を迎えます。長く関わってきた子どもほど、3歳以降の成長をそばで見られないのは寂しいものです。
ただ、卒園したあとも、成長した姿に出会える機会はあります。近くの園に進んだ子と、散歩先の公園で会うこともあるでしょう。保護者と一緒に遊びに来てくれたり、きょうだいの送迎についてきてくれたりする子もいます。
毎日の成長をそばで見守れなくても、こうした再会があると、送り出す寂しさも少しやわらぎます。
現役園長が小規模保育園で働いて感じたこと
私自身、小規模保育園で働いてみて、良さも大変さも実感しています。転職前に感じていた不安から、働いてみてわかったことまで、実体験をもとにお伝えします。
乳児だけの園への不安は、働いてみて変わった
私は幼稚園や幼児クラスでの経験が長く、幼児の保育に大きなやりがいを感じていました。そのため、乳児だけの園で働くと、物足りなく感じるのではないかと不安でした。
ところが、働き始めてみると、その心配は必要ありませんでした。0〜2歳児の保育にも、私自身が「やってみたい」と思えることがたくさんあったからです。
言葉になる前の気持ちを、表情やしぐさから汲み取るのも、乳児保育ならではの面白さです。イヤイヤ期の子への声かけや、食事や着替えを一人ひとりのペースで支える方法も、工夫しがいがあります。
転職前に感じていた不安は、働くうちに乳児保育の楽しさへと変わっていきました。
働いてみて「良かった」と感じること
小規模保育園でいちばん良かったのは、ゆったりとした流れの中で、子ども一人ひとりとじっくり向き合えることです。0〜2歳は特に成長が大きく、その変化をすぐそばで見られることにも喜びを感じています。
また、自分のクラスだけでなく、園全体ですべての子どもを見守っていくところも気に入っています。事務室が保育室とワンフロアでつながっているのも、園長としては助かる点です。手が足りないと感じる場面ですぐに手伝いに入れるので、保育士を近くで支えられます。
働いてみて大変だと感じること
私が今の園で大変だと感じているのは、保育経験の浅い保育士にも、クラスの担当を任せることです。
以前勤めていた5歳児クラスまである園では、正規の保育士が複数でクラスを担当する「複数担任」でした。一方、今の園では、正規の保育士が1人でクラスを担当し、パートの職員に補助に入ってもらう形をとっています。
担任の体制は園によって異なりますが、小規模保育園は職員の人数が限られる職場です。そのため、1人の担任にかかる負担が大きいと感じる場面もあります。
任される保育士にとっては、プレッシャーになることもあるでしょう。園長としても、指導やサポートをよりていねいに行うことが欠かせません。今は、リーダー保育士と協力しながら担任を支えています。
小規模保育園に向いている人・向いていない人
小規模保育園が合うかどうかは、どんな保育をしたいか、どんな環境で働きたいかによって変わります。メリットとデメリットをふまえて、向いている人と、向いていないと感じやすい人の特徴をまとめました。
小規模保育園に向いている人の特徴
小規模保育園に向いているのは、子ども一人ひとりとじっくり関わりたい人です。主な特徴は、次のとおりです。
- 0〜2歳児の保育を深めたい人
- 子ども一人ひとりのペースに合わせて関わりたい人
- アットホームな雰囲気の中で、少人数の職員と協力しながら働きたい人
毎日の生活や遊びの中で、子どもの小さな変化に気づくことに喜びを感じる人なら、働きやすさを感じられるでしょう。また、自分のクラスだけでなく、園全体で子どもを見守る働き方になじめる人にも合っています。
向いていないと感じやすい人の特徴
反対に、3〜5歳児の保育や大きな行事を楽しみたい人は、物足りなく思うこともあるでしょう。たとえば、次のような人です。
- 幼児クラスの担任も経験したい人
- 運動会や発表会など、大きな行事づくりにやりがいを感じる人
- 3歳以降の成長も、そばで見届けたい人
ただし、当てはまるからといって、小規模保育園で働けないわけではありません。行事の内容や数は園によって違い、3歳以上の子どもを受け入れている園もあります。
求人探しや見学の前に、大切にしたいことに優先順位をつけておくと、合う園を選びやすくなります。
小規模保育園で後悔しないために見学で確認したい5つのこと
小規模保育園の働きやすさは、園によって大きく違います。デメリットで紹介した点も、園の体制しだいで感じ方が変わるため、見学で実際の様子を確かめておくと安心です。あわせて、子どもたちがいきいきと過ごしているかや、掃除が行き届いているかも見ておくとよいでしょう。
ここでは、小規模保育園だからこそ確認しておきたい5つのことを紹介します。
- 休憩時間がとれて、休める場所があるか
- 急な休みに対応できる人員がいるか
- 職員同士の関係性や雰囲気は良いか
- 保育室の広さや外遊びの場所は十分か
- 運営法人の研修やサポートがあるか
休憩時間がとれて、休める場所があるか
小規模保育園は職員の人数が少ないぶん、休憩を交代でとるための調整が欠かせません。保育の現場では、園の規模にかかわらず、休む時間を十分にとれていないケースもあります。休憩時間がきちんととれているか、見学のときに確かめておきたいところです。
また、園によっては、休憩時間はあっても保育室から離れて休める場所がないこともあります。子どもの声が聞こえるところでは、気持ちを切り替えにくいでしょう。休憩をとる場所も、あわせて確認しておくと安心です。
急な休みに対応できる人員がいるか
職員の急な休みにどう対応しているかも、確認しておきたいことの一つです。フリーの保育士がいる園なら、担任が休んでも保育を回しやすくなります。
反対に、ぎりぎりの人数で運営している園では、休みをとることに気をつかう場面が増えるかもしれません。有給休暇のとりやすさも、聞いておくと参考になります。
職員同士の関係性や雰囲気は良いか
少人数の職場では、職員同士の関係が働きやすさに大きく関わります。見学では、保育士同士の声のかけ方や表情に注目してみるとよいでしょう。
困っている職員にさりげなく手を貸したり、笑顔で言葉を交わしたりしているかどうかで、職員同士の関係が見えてくることもあります。職員が長く働いているかどうかも、雰囲気を知る手がかりになります。
保育室の広さや外遊びの場所は十分か
保育室の広さや外遊びの環境は、毎日の保育の内容に直結します。見学では、子どもたちが保育室でのびのびと動けているかを見ておきたいところです。
園庭がない場合は、散歩先の公園までの距離を聞いておくと安心です。雨の日の過ごし方もあわせて尋ねると、働き始めてからの保育を具体的にイメージできます。
運営法人の研修やサポートがあるか
小規模保育園は職員が少なく、園の中だけで学べる機会には限りがあります。運営法人が実施している研修や、ほかの園と交流できる場があるかも確認しておきましょう。
本部が園の様子をよく把握している法人なら、困ったときにも相談しやすいでしょう。反対に、判断を園に任せきりにしている法人では、現場の負担が大きくなることもあります。
特に経験の浅い保育士にとっては、こうした支えがあると心強いでしょう。入職後のサポート体制についても、見学のときに尋ねておくと、法人の考え方も見えてきます。
まとめ|小規模保育園は、子どもとじっくり関わりたい人に合う職場
小規模保育園は、子ども一人ひとりとじっくり関わりたい人にとって、働きやすい職場です。少人数だからこそ、保護者や職員とも近い距離で関われます。
一方で、3〜5歳児の保育経験を積みにくいなど、気になる点もあります。保育室の広さや休みのとりやすさは園によって差が大きいため、見学で確かめておくことが大切です。
私自身、転職活動中は小規模保育園を候補にも入れていませんでした。それでも、働いてみるうちに、自分に合った職場だと感じるようになりました。こだわっていた条件とは違う園でも、思いがけず自分らしく働けることがあります。
大切にしたい保育や働き方を思い浮かべながら、あなたに合う園を選んでいきましょう。

